臨床心理学にいる

心理学のあれこれ

2014-10-19から1日間の記事一覧

感覚 003 感覚の属性

感覚の属性とは、感覚を要素に分解したものを指す。例えば、色は、色相、明度、彩度の3属性を持つとされる。構成主義心理学のヴントは、感覚は、質・強度という属性で構成されるとした。 とはいえ、物事は単純なものではなく、感覚の要素は単純な和とは見な…

感覚 002 感覚のモダリティ

感覚は、視覚、聴覚、嗅覚、皮膚感覚、運動感覚、平衡感覚、内臓感覚というような「モダリティ」に分けることができる。ちなみに、アリストテレスは感覚を、聴覚、視覚、嗅覚、味覚、皮膚感覚(広義の触覚で、さらに熱覚、温覚、冷覚、触覚、痛覚に細分化さ…

感覚 001 感覚と刺激

感覚とは、刺激が受容器から感覚中枢に伝わるという、感覚系の興奮によってのみ規定される過程こという。感覚はより全体的な過程であり、感覚と知覚は便宜的に区別される。感覚は心理学の研究対象であると同時に、生理学の研究対象でもある。 ちなみに、知覚…

生理学的心理学・精神生理学 002 ニューロン

神経系は、主にニューロンとグリア細胞から構成されている。ニューロンは、実際に情報の伝送・統合を行う細胞であり、グリア細胞は、物質の交換や支持の機能を持つ細胞である。 ニューロンは、細胞体と、そこから突出する樹状突起と軸索から構成される。1つ…

生理学的心理学・精神生理学 001 生理学的心理学と精精神生理学

生理学的心理学と精神生理学は、生理学的な知見を踏まえた上で心理学の現象を研究する分野であるが、2つの違いは実験変数の扱い方にある。スターンバックによれば、生理学的心理学は、生理学的条件の変化(独立変数)に対応する心理学的状態の変化(従属変数…

心理学史 078 臨床心理学の発展

臨床心理学は、人格心理学、精神医学、異常心理学、社会病理学などの知識と技術を統合して、特定の個人の生活における障害や悩みなどの実態と原因を解明し、その解決や治療を試み、合わせて予防のための対策を講じる心理学の応用領域である。 心理学の名称は…

心理学史 077 認知心理学

認知科学は、近年目覚ましい発展を遂げつつあり、そこには心理学はもとより、コンピューター科学、脳神経科学、言語学、哲学など多様な領域が大きな分野を形成しているが、認知心理学はその中の1つで、知覚、記憶、学習、思考などを研究対象とする立場である…

心理学史 076 社会的認知

1950年代になると、ゲシュタルト心理学の影響を受けたハイダーやフェスティンガー、アッシュ、ケリーらは、対人場面や社会的文脈における認知過程の研究を行うようになった。この研究(社会的認知)は、原因帰属や自己及び他者の状態・特性認知などの要因が…

心理学史 075 チョムスキーと心理言語学

チョムスキー 1928年〜、アメリカの言語学者。生成言語理論の中核をなす生成文法論の創始者で、言語学に革命を引き起こした。 チョムスキーは、生成言語理論の前提として、人は生まれながらにしてどのような言語であっても、それを修得するための仕組みを脳…

心理学史 074 コンピューターの発展とサイモン

コンピューターの情報処理能力が向上することに歩調を合わせるように、経済学者・工学者のサイモンによる意思決定・問題解決の計算モデルが登場し、人間の知的操作とコンピューターの演算とのアナロジーが考えられるようになった。これは、人間の思考を一種…

心理学史 073 情報理論とサイバネティックス

情報理論とは、シャノンによって体系化された情報伝送の理論である。通信系を流れる情報の測定、メッセージを送信信号に変える符号化や受信信号をメッセージに変える最符号化の効率的方法、ノイズの特性とその影響、情報の伝達容量などが、主な問題として論…

心理学史 072 ピアジェの認知発達理論

ピアジェ 1896〜1980年、スイス生まれの発達心理学者。個体はその誕生以後、どのような発生過程をたどって(ヨーロッパ的理性の根幹である)論理的な認識に行き着くのかを、認知一元論的に明らかにしようとした。 いくつかの大学で研究を続けた後、1956年に…

心理学史 071 バートレットのスキーマ論

バートレットは、エビングハウスが行わなかった有意味素材の記憶実験を通じて、再生時に記憶変容にある種のパターンがあることを発見し、この説明に「スキーマ(心的図式、枠組み)」という概念を用いた。この概念は、人間が環境認知の際に活用していると想…

心理学史 070 認知心理学成立の背景

認知心理学とは、1950年代から情報理論の発展やコンピューターの実用化、人工知能研究などの影響下で成立した「人間の認知過程の研究」をメインディッシュにする比較的新しい心理学の一分野である。知覚研究をベースに、サイバネックス、情報処理理論、人工…

心理学史 069 バンデューラの社会的学習理論

1960年代前半、アメリカ心理学においてにハルやトールマンの影響力が衰え始めたころ、反応に対する直接的な強化を必要としない観察学習と代理強化の研究により注目を集めたのがバンデューラである。 一般的に社会的な習慣や態度、価値観などが、周囲の影響を…

心理学史 068 スキナーの徹底的行動主義

スキナー 1904〜1990年、アメリカの心理学者。行動主義の基盤をなすオペラント条件づけの創始者。1931年にハーバード大学で学位を得た後、48年から定年までハーバード大学の教授を務めた。 大学院生のころに、ネズミがバーを押せば餌が出る「スキナー箱」を…

心理学史 067 トールマンの目的的行動主義

トールマン 1886〜1959年、アメリカの心理学者。マサチューセッツ工科大学を卒業後、ハーバード大学で学位を取得し、カルフォルニア大学の教授になった。ドイツ留学時にゲシュタルト心理学に触れたことが、その後の理論形成に大きな影響を及ぼしている。 ト…

心理学史 066 ハルの論理的行動主義

ハルは、ネズミの学習行動の実験データにもとづき、動因の低減をもたらす強化の連合を基本原理として、動因、習慣強度、反応ポテンシャルなどを仲介変数として用い、仮説演繹的方法によって、生活体のすべての行動を説明する学習理論を構築しようとした。ハ…

心理学史 065 ガスリーの接近説

ガスリーは、学習理論の主流がS−RからS−O−Rに移行しつつある中、あえてSとRの時間的・空間的接近が学習の必要条件であるという立場を主張した。ガスリーの説では、学習は単一の条件づけによって成立可能で、強化の反復は必ずしも必要ではないとされる。「あ…

心理学史 064 ブリッジマンと操作主義

ブリッジマン 1882〜1961年、アメリカの物理学者。マサチューセッツ州ケンブリッジに生まれてハーバード大学で学び、1910年から同大学物理学部に勤務して9年後に教授となった。高圧下(圧力)における様々な研究成果により、1946年にノーベル物理学賞が授与…

心理学史 063 S−O−R図式

行動主義は、科学としての心理学を強調したが、あまりに極端な客観主義・環境主義は批判の的になったため、1930年代以降になると「新」行動主義にヴァージョン・アップすることになった。 トールマンやハルは、心理学の研究対象は行動であり、条件付けなどの…

心理学史 062 恒常仮定と恒常現象

恒常仮定とは、ある刺激に対して一つの感覚が対応するという固定的な関係を想定することである。構成主義のような要素主義心理学における基本的な前提であるが、ケーラーは事実に則さないと指摘し、恒常仮定の反証として、要素が変化しても全体としての知覚…

心理学史 061 移調の法則

移調とは、メロディーのように、それを構成する個々の要素とは独立して存在し、要素間の全体的関係が変わらなければ保持されるゲシュタルト心理学の基本原理の1つである。音の要素が変わっても、メロディーが変わらないこと(どれほど音痴な人が歌った歌でも…

心理学史 060 プレグナンツの法則

プレグナンツ(=「簡潔さ」を意味する)とは、ものを見たときに最も良いまとまりをなすように体制化する傾向のことで、ゲシュタルト心理学における基本原理の1つ(他に仮現運動など)。プレグナンツの法則によれば、知覚された世界は個々の要素の特性からで…

心理学史 059 ゲシュタルトと形態特徴とは

ゲシュタルト心理学におけるゲシュタルト(形態)とは、「まとまり」をもって現れる具体的なものである。形態特性は分節した図の特性、要素の寄せ合わせには還元されない特性、移調可能性を持つことを特徴とする。これはエーレンフェルスの形態質とは異なる…

心理学史 058 ウェルトハイマーとゲシュタルト心理学

1912年、ウェルトハイマーの仮現運動に関する研究とともに成立したのがゲシュタルト心理学である。研究助手であり被験者であるケーラーやコフカによって、知覚の分野で集中的に研究が行われ、その後のレヴィンやメッツガーが加わって、学習・記憶・思考・動…

心理学史 057 ウェルトハイマー

ウェルトハイマー 1880〜1943年、ドイツの心理学者で、ゲシュタルト心理学創始者の一人。ベルリン、ヴュルツブルク、ウィーン大学を経た後、1910年にフランクフルト大学に移り「運動視に関する実験的研究」(1912年)を発表した。光の点滅にすぎないものが、…

心理学史 056 実験現象学

要素主義や構成主義が心的現象を切り刻むことに対して、実験現象学は、直接経験や現象をあるがままの姿でとらえ(心的現象を切り刻むことはなく)、その特性に従って記述・分類し、相互の関係を比較・解明することによって、現象を成立させている本質的条件…

心理学史 055 エーレンフェルスの形態質

オーストリアのグラーツ大学にいたグラーツ学派のエーレンフェルツは、マッハの指摘に呼応し、メロディーのような構成要素以上の性質を持ちつつ、移調可能で、全体の性質が維持されるものを「ゲシュタルト(形態)質」と名付けた。単なる音の集まりが、「音…

心理学史 054 マッハの空間形式・時間形式

オーストリアの物理学者マッハは、「感覚の分析」(1885)において、感覚には幾何図形のような「空間的形式」と、メロディーのような「時間的形式」があると述べ、これらの形式の感覚は要素が何であっても知覚されることから、形式は要素に還元できないと論…