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心理学のあれこれ

心理学史 044 ワトソンの行動主義

ワトソン

1878〜1958、アメリカの心理学者。ラジカルな行動主義を提唱したことで知られている。1905年、シカゴ大学において「動物の訓練」という論文で学位を取得し、1908年にジョンズ・ホプキンス大学でヴントの構成主義を批判する行動主義を提唱したが、1920年に離婚がからんで実業界に転じた。

ワトソンは、心理学の目的は行動の予測とその支配であり、心理学は客観的で、実験的な自然科学の一部であるから、行動だけを問題として扱い、意識や内観といったあやしいものは排除すべきであると主張した。また、行動はあらゆる刺激に対する反応であるため、全ての行動は条件づけによって説明できるとも述べている。

いわゆるbig mouthであり、「12人の健康な子どもを私に与えてほしい。…そうすれば、その子どもたちを色々な専門家に育て上げることができる。医者、法律家、芸術家、商人、さらには物乞いや泥棒にすらできる。その子どもの才能、好み、傾向、能力、適正、先祖の人種にかかわらずにね。」と述べているところからもそれがうかがえる。


ワトソンによれば行動を構成する単位は、刺激と反応の連合であり、行動は少数の生得的な反射と環境との交渉を通じて学習される多くの習慣になるという。また、周囲の物理的な刺激によって行動が決定されるとも述べており、この極端な客観主義と環境主義は、後に「意識なし心理学」という批判の対象とされた。

大言壮語で単純なアメリカ人にぴったりな行動主義。


  1. 潜在的言語運動(内語)。ワトソンは、思考を自分自身に話しかけること、つまり一種の言語行動だと考えた。思考は音声を伴わない内的な言葉であり、声帯や舌の微小な運動からなると主張し、潜在的言語運動(内語)と呼んだ。

  2. 本能概念の排除。マクドゥガルは、人間の社会的行動の説明概念として、逃避、探索、拒否などの本能を列挙したのに対し、ワトソンは目的、先見といった用語を含む定義を、非科学的と批判した。ワトソンは、複雑な行動はすべて環境との関係において学習されるものと考え、本能の存在を否定した。

  3. 環境主義。行動を支配する要因として資質的要因を排除し、環境的要因を強調した。資質的要因として刺激に反応する身体・生理的構造のみを認め、複雑な行動は全て後天的な学習により形成されるとした。